「セフトリアキソン」淋病治療での解説とレビュー

セフトリアキソンは淋病治療において、日本では一番最初に検討される薬です。

先発薬名は「ロセフィン」という名前で、海外の製薬企業ロッシュが開発し、日本では現在太陽ファルマが販売をしています。

すでに特許が切れており、日医工やファイザーなど多くの会社からジェネリックが発売されています。

淋病治療におけるセフトリアキソンについて見ていきたいと思います。

セフトリアキソンの働き

セフトリアキソンは抗生物質で、様々な感染症に利用されます。

例えば、一般の人でも耳にするような感染症としては、中耳炎や肺炎などが挙げられます。

そして、この対象となる感染症の中に淋病も含まれています。

このセフトリアキソンは、対象となる菌の細胞壁の合成を阻害する働きがあり、細胞壁合成阻害剤でもあります。

人の細胞には細胞壁がありませんが、感染症の菌には細胞壁があることがあり、この細胞壁がなければ菌は死滅してしまいます。

セフトリアキソンは、感染症の菌がこの細胞壁を合成しようとする働きを阻害し、結果的に菌を死滅させます。

感染症が持つ細胞壁に対して作用するので、人体にそこまで影響が大きくなく、安心して利用できる薬です。

セフトリアキソンの淋病治療での使い方

セフトリアキソンは注射薬です。

淋病治療においてセフトリアキソンを利用する場合は注射で1gを1回投与します。

あとは薬が効いて菌を死滅させてくれるので、それ以降に薬を服用することはありません。

淋病治療でセフトリアキソンを利用する場合は、たった1回の注射で治療が完了してしまうのです。

また、現在日本国内の淋病菌であれば、セフトリアキソンはほぼ100%効果があるといわれているため、治療後の検査も不要です。

ただし、感染した可能性がある場所や、そのほかの感染症の治療のために、セフトリアキソン投与後に再度病院へ行かなければいけないことはあります。

淋病とクラミジアの関連について

クラミジアは日本では最も感染者の多い感染症といわれています。

淋病とも症状が似ているところがあります。

実は、淋病とクラミジアは合併している確率が高く、その確率は40%ほどあるという報告もあります。

そのため、淋病に感染しているとわかった場合は、淋病治療を行うと同時にクラミジアの検査も行い、クラミジア治療を行わなければならない可能性もあります。

セフトリアキソンは淋病菌に対して効果を発揮しますが、クラミジアの菌には効果がありません。

そのため、それぞれ分けて治療をする必要があります。

医師の判断によりますが、淋病のほうが比較的治療期間が短いことから、まずは淋病をこのセフトリアキソンで治療し、その後クラミジアを治療するような流れが考えられます。

クラミジアの治療についてはこちら

淋病治療におけるセフトリアキソンの位置づけ

このセフトリアキソンは現在の淋病治療においては、第1選択薬として考えられます。

その他にもスペクチノマイシンという注射薬があり、こちらもほぼ100%淋病に効果を発揮することが分かっており、最初に検討される薬です。

どちらの薬を使うかは、感染部位だったり、医師の判断によって検討されます。

この二つの薬があるため、現在日本ではまだ淋病治療において問題が少ないですが、淋病というのはもともと非常に危険な感染症です。

菌というのは、治療薬を使ったあとに完全に死滅させられなかった場合、その一部の菌が投与した薬に耐性を持ってしまうことがあります。

淋病は過去、誤った理解で薬が多く使われてしまったことがあり、結果的に多くの薬に耐性を付けています。

菌の耐性は常に進んでおり、2016年にはもともと淋病治療で使われていた薬が、菌がほぼ耐性を持ってしまったために廃止になったケースもあります。

その他、感染症で検討されるいくつかの薬では、すでに耐性を持っている菌が7-8割以上となっており、まったく使えないものもあります。

また、地域によって菌がどの薬に耐性を持っているかというのは違っていますが、日本はまだ比較的菌がそこまで耐性を付けていないといえます。

他方の海外の国では、地域によっては非常に耐性を付けた強い菌が発見されており、日本では許可されている薬でも、海外では効果がなく許可されていないものもあります。

淋病はこのように耐性をつけ常に進化をしており、いつ治療をできなくなるかわからない感染症でもあるのです。

そういった意味で、セフトリアキソンは現在の淋病治療ではほぼ100%効果を発揮してくれるため、非常に重要な薬となっています。

2019/05/01