オーグメンチン(Augmentin)はどんな性病の治療で使うか
2019/05/14
オーグメンチンは、アモキシシリンとクラブラン酸カリウムが含まれた抗生物質です。
抗生物質で感染症に効果を発揮するため、性感染症などでも利用が検討できますが、具体的にどんな性病の治療で利用が検討されるでしょうか。
オーグメンチンの働き
オーグメンチンは、細胞壁合成阻害剤と呼ばれる薬の一種です。
細胞には細胞壁というものがあり、この壁がなくなってしまうと生きていくことができません。
そのため、常に細胞はこの細胞壁を合成して壁を作り続けています。
この壁の合成を止めてしまい、細胞を死滅させるのが、このオーグメンチンの働きです。
具体的にはオーグメンチンに含まれているアモキシシリンがこの働きをします。
また、一緒に含まれているクラブラン酸カリウムは単体ではそこまで抗菌力が強くないですが、他の抗菌薬と一緒に使うことで相乗効果を発揮する成分であり、アモキシシリンの効果をより強めるために含ませています。
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オーグメンチンの対象となる性感染症
オーグメンチンで治療する性病として、まず最初に考えられるのが「梅毒」です。
日本の性感染症学会が発表するガイドライン上で、オーグメンチンに含まれるアモキシシリンによる梅毒治療が記載されています。
梅毒の治療では、アモキシシリンを1日1,500mg、計3回に分けて服用するの見方が考えられます。
治療期間は梅毒のステージによって変わりますが、初期の段階でも4週間ほど治療を要することがあります。
梅毒治療では、いくつもの薬の選択肢が存在しますが、日本ではアレルギーによるショック死が発生した例などもあって、利用できない薬も存在しています。
また、その他の薬が品薄になっていて、梅毒での治療に利用できないということもあって、ガイドライン上ではアモキシシリンはかなり優先度が高い選択肢となっています。
ただし、アモキシシリン単体の薬があり、一方のオーグメンチンの場合はクラブラン酸カリウムも含まれています。
梅毒治療においてはアモキシシリンが優先度が高く、そういった点ではオーグメンチンも検討対象となりますが、アモキシリン単体で効果が十分の場合は、オーグメンチンが選ばれることは少なくなるかもしれません。
一方で、もう一つオーグメンチンで治療する性病があります。
それが「淋病」です。
淋病は梅毒よりも感染人数が多く、また国内で最も患者数が多い性感染症クラミジアと併発するリスクが高いといわれます。
淋病の治療では通常、注射によるセフトリアキソンやスペクチノマイシンなどといった薬が使われます。
これらは日本ではほぼ100%効果があることが証明されているため、現在はこの治療方法が優先されています。
しかし、海外ではオーグメンチンを淋病治療で使っている国も多くあります。
淋病だけでなく感染症において一般的なことですが、菌が耐性を持って進化していくことがあり、時代とともに効く薬と効かない薬が出てきます。
また、地域も影響があり、日本の淋病には効く薬でも、海外の淋病には効かない薬などがあり、各国によって使われる薬は違っているのです。
2016年に作られた日本の性感染症治療のガイドライン上では、淋病の治療方法にオーグメンチンの記載はありませんでしたが、海外では淋病治療にオーグメンチンが利用されています。
ガイドライン上では、使えない薬の場合は、使わない薬として紹介されるため、何も記載がないということはまだ研究されきっていない、とも考えられます。
医師の中には、ガイドライン上にはなくとも、海外の実績などを確認の上、このオーグメンチンで淋病を治療することもあります。
オーグメンチンを使った淋病治療の場合は、オーグメンチン250を1日4-6錠、計4日間服用するような方法がとられます。
淋病治療は体内で薬の成分の濃度を一気に上げることで菌を死滅させることができ、時間をかけて薬を服用するよりも短期決戦で治療を行うことが多いようです。
どの薬を使うべきかは医師との相談が一番
淋病では、最近スーパー耐性菌といったものが海外で発見されました。
これは今まで標準だった治療約がことごとく効かない耐性の強い菌のことです。
このような菌に感染すると治療が長引くどころか、一生治らない可能性すらあります。
菌が耐性を付ける理由は様々なありますが、一つには薬を使ったあと完治させないまま放置してしまうケースです。
一度薬で菌が弱っても、完全に菌を死滅させなかった場合は、体内に菌が残り続けます。
そして体内に残った一部の菌は、その時に使った薬に対して耐性を持ってしまう可能性があり、そういった菌に感染したまま性行為を繰り返していると、様々なところにその耐性を持った菌をばらまくことにもなります。
どの薬が効果をしっかり発揮するか、また薬がちゃんと効いて完治したかどうかは、医師の判断を仰ぐのがベストです。
耐性菌を多く作ってばらまかないよう、淋病や梅毒治療では、医師に治療計画を検討してもらうようにしましょう。
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